落花生専門店が教えるピーナッツの種の選び方。家庭栽培や農業の種まき用としてベストのタネとは?
千葉県のピーナッツ専門店が教える「いいピーナツに育つ種の選び方」について解説します。
千葉県産ピーナツの品種で解説します。
煎り落花生がメインの
☑千葉半立(チバハンダチ)
☑Qなっつ(キューナッツ)
☑中手豊(ナカテユタカ)
ゆで落花生として販売されている
☑おおまさり
☑郷の香(さとのか)
など現存する落花生の品種はほぼ判断することができます。
他にもマイナー品種はありますが、栽培をするなら上記の5品種以外は需要が全くないので作るのはやめた方がいいです。
石井進商店は「おいしい落花生」を「生産者様」に作って頂くために、種にこだわりは当店の強みの一つです。
しかし、落花生のいい種ってどういったものなのか?を判別するには一般の方にはなかなか難しいと思います。その難しい部分を落花生のプロが分かりやすく解説していきます。
記事を読んでためになる方
・これから落花生の種を買って家庭菜園をする方
・新規でピーナッツを作ろうと思っている方
・落花生を長年作っているが、良い種は分からないと悩んでいる方など
落花生栽培初心者の方からベテランの方までためになる記事です。
市販の種がベストな種であるならば消費者は何も考えずに買えばいいのですが、正直なところ、市販の種はその販売元の管理の状況によって発芽率はばらつきが出てきます。
なので去年はタネの発芽率がよかったのに、今年のは半分くらいしか発芽しない・・・ということもあります。
一番のおすすめは、自分で栽培した落花生の中でも良い品質のものを「種親」にするのがおすすめです!そうはいってもどう見分ければわからない!という方などに基本的なピーナッツの種に関する情報を書いていきます。
記事の信ぴょう性・筆者について
「石井進商店」(いしいすすむしょうてん)
・1955年創業したピーナッツ専門店。
・落花生の名産地!千葉県八街(やちまた)市で65年以上落花生を販売中!
・落花生に関する情報を長年の経験と知識から発信しています。
参考文献・引用元
・農業研究センターの情報(農作物の研究している専門の場所)
(最終更新日 2021年4月)
使えない種(芽が出にくいタネ)の見分け方01
初めに落花生の種親にするにはだめな悪い種を見せます。
※写真1 種親に使えない生落花生
写真1を見ていただくと、これは使えないでしょ!というのがすぐわかると思うのですが、意外とこういった落花生の種を使ってしまっている人が多いです。今心当たりがある方はすぐにこういった生落花生を種親にするのはやめましょう。
使用に向いていない生落花生とは?
黒くなっている落花生
基本的に腐っていますのでタネにはなりません。腐っていると、油がにじみ出ていることが多いです。
カビている落花生(主に白カビ)
カビてくると生落花生の周りに白い毛(綿毛)みたいのがついてきます。白カビの落花生はパッと見ただけですと分からない場合もありますので、注意して確認しましょう。
栄養・水分が不足でガリガリにやせ細っている落花生
芽は出る可能性はありますが、収穫時期に他のタネに比べるといいものは期待できません。
種の上の部分が黒ずんでいる
芽が出る部分が死んでいる可能性があります。使用するのはやめておきましょう。
落花生が割れている
粒が割れて半分の状態の生落花生の事を指します。
粒の色が変色している
少し一般の方には判別が難しいかもしれないですが、落花生の色味がおかしいもの。
本来の正しい色味は皆さんが食べているむき実の落花生の色を想像してもらえれば分かると思います。赤茶色ぽい・明るい赤茶色をしていればよりいいです。
主にこういった落花生は自宅で落花生を作って来年用の種にする人が選別する際に注意する点になります。市販では、たまに入っている可能性がありますので、そういったのを省いていただければなと。
・黒く腐っている(油が発生している)
・白カビの発生している
・やせ細っているもの(粒がへこんでいる)
・落花生が割れている
・渋皮の色味がおかしいものは落花生の種として使えない!
種として、芽が出るかどうか判断する方法02
落花生の種を買ったが、芽が出るかわからないという方もいると思います。
その場合は、試しに、たねを一粒割ってみてください。そうしますと一目で分かります。
写真2 落花生の発芽するかしないかの判別写真
(引用 農業総合研究センター落花生栽培の手引きより)
写真2を見ると、一番左が健全な種子(芽が出る確率が高い粒)そこから右に向かってごとに発芽率が下がっていきます。芽が出る種は種子が粒の色と同じ状態です。
芽が出ないのは種子の部分が黒ずんできます。先ほど使えない種といった大半は種子が真っ黒になっています。
良い落花生になる種はどれ?03
ここで、さらに画像を見てもらって、良い落花生になるものを判別して頂きます。
どの生落花生が良いタネになるのか写真の中からえらんでもらいます。ちょっとしたクイズ形式でやっていきますので、宜しければ考えてからご覧ください。
写真3 良い生落花生はどれか?
いかがでしょうか?写真で分かりにくいところがあったかもしれないので、悩んだ方もいると思います。
まず最初の問題 Q.芽が出る種はどれ?
写真3から芽が出そうなものをお選びください。分かった方は↓にスクロールしてください。
A.一番左以外は全て発芽の可能性がある!
一番左の種は、粒が凹んでいるので、栄養や水分不足のものです。
また色味も微妙なところなので、除外となります。他の種は色味などは問題なく、発芽はすると思います。
しかし、ここからが本題です。
Q.いい種として使えるのはどれか?
どれが一番種親として向いているのか?ひとつお選びください。
分かったら↓にスクロールしてください。
A.一番右がベスト!
他は残念ながら、良い種としては微妙です。理由を説明いたしましょう。
良い種の基準として、
1.種の大きさがある程度大きい (落花生の基準でいいますと2等級の大きさ)
※逆に粒が大きすぎるものは、育ちすぎている生落花生ですので、それもベストとはいえません。程よいおおきさがベストです。
ですので、左から2番目は小さすぎるので除外となります。
見分け方
正直身近にあるものでこのくらい!というのがないので、説明が難しいですが、一番簡単なのは、落花生屋で販売している商品をみてもらうと分かると思います。
参考として、石井進商店で販売している落花生商品の
・から煎り落花生
・味付(あじつけ)
・素煎り(すいり)
・大粒バターピーナッツなどが2等級の粒の大きさになります。
2.粒自体が丸みをおびている。(凹んでいる部分がない)
ここで、左から3番目の種が除外されます。恐らく市販の種としてはこのくらいの種だったら使用していることも多いです。
先ほども申し上げた通り、やせ細っている落花生は栄養や水不足のものが多いので、種として使うと収穫できる落花生の質が落ちます。
栄養が足りて程よく成長している落花生は、ふっくらした粒になっております。
3.色味が良い生落花生
この判断は難しいと思うのですが、全体的に渋皮が、薄オレンジ色や薄ピンクで、表現として正しいか分かりませんが、血色がいい感じの粒がベストでございます。
どんな粒がいいか言葉じゃわからん!という方に当店の落花生の種の写真を御見せしますと、
写真4.石井進商店で使用している最高級の生落花生
写真4のような粒がベストでございます。写真ですとオレンジっぽいですが、光の当たり具合でピンク色っぽくも見えます。
また、全体的に丸みのあり、粒の大きさも大体は基準の大きさになります。
落花生の甘さについて04
どんな方でも、どうせ作るなら、おいしい落花生を作りたいはずです。
その条件を次のように当店では考えております。
1.良い種のおいしさは遺伝子レベルで決まってしまう
人間でも、野菜でもやはり遺伝子による差は発生すると思います。
例えば、東大出身の両親から生まれた子供は頭が良いことが多かったり、身体能力でも、一般人よりスポーツ選手の子供が身体能力が高いことが多いのは皆さん自然と感じていると思います。
それと同じで、落花生も元の遺伝子が良いと、その甘さなどの品質の良さを受け継いでいることと筆者は考えております。また、良い種親を使用すればおいしさのふり幅が大きくなり、よりおいしい落花生を作れると考えております。
2.栽培する環境
千葉県内の落花生でも、落花生を作る地域の畑(環境)が違うだけで、落花生の質が全く違います。
その中でも、落花生の本場!千葉県の八街(やちまた)は、落花生を作るには環境としては適しているので、必然的に美味しい落花生ができやすいです。
そうなると、「遺伝子レベルで種が良ければ必ず美味しい落花生ができるのですか?」とか「元の種があまり良くない可能性がある場合は、美味しい落花生はできないの?」とか言われますと、答えは半々です。
あくまで、種の良し悪しは、発芽率やおいしさの基準を高める土台です。
分かりやすく言いますと、落花生の発芽率と甘さの上限が・・・
種親が通常品質の場合
発芽率6割程度。上手く収穫できてもマックス75%の甘さしか引き出せないとしたら、
種親が高品質の場合
発芽率8割程度!上手く収穫できればマックス90%~100%の甘さを引き出すことが出来る!
と筆者は考えております。
最終的においしさを引き出させる秘訣とは?
作り手の技量や努力次第と考えております。
単純に経験がある方は、色々と工夫できますが、初心者の方でも、しっかりとマニュアル通りのやり方を実践すれば、良い物は作れます。しかし、マニュアル通りにできない人が多いのが現状です。
それはなぜか?と言いますと、
例えば、たね撒きをする前に、肥料をまくと思いますが、これは落花生の栄養の元です。甘さの元となるものです。
しかし、肥料が高いから少しケチって撒いてしまおうとする人がホント多いです。妥協した時点で、すでに美味しい落花生を作ることを投げ出しているのと同じです。
美味しい落花生を作っているベテラン農家様の傾向として、肥料はむしろ多すぎるんじゃないかってくらい入れています。
石井進商店では毎年、契約農家様に販売しているタネがしっかり発芽するかのチェックするために試験的にまいています。その際、これでもかというくらい肥料をまいております。
その試験的にまいている落花生を収穫する際、通常は一株に10粒くらいが平均取れる量と考えた場合に、当店のは15粒~20粒取れていますので、肥料をしっかりやった分だけの価値はあると思います。
肥料をしっかりやるメリットとは?
気候の話をしますと、落花生に水が必要な時期(7月~8月初旬)に雨が降ることが少ない=日照りの年が最近の傾向で多いです。そうなると必然的に水不足の落花生が発生いたします。
水不足になるとどうなるか?といいますと、落花生は通常一つの殻に2粒の落花生がなると思いますが、子孫を残すために、2粒は育てられないと落花生自身が判断して、片方の粒を見捨てます。
見捨てられた粒は、そのまま死んでしまいます。それでも栄養が足りない場合は、中身が入っていない空っぽの落花生が多くなります。
しかし、もし肥料をしっかりやっていた場合は、最悪の事態は防ぐことはできます!水も栄養もたっぷり摂取させるのがベストというのは皆さん言わなくても、分かると思いますが、水不足でも栄養があれば、中身が空っぽというのはほぼ防げると思います。
収穫しても、中身の粒がやせ細っているんだよな、片実の落花生が多いという経験がある方は、肥料不足なので、これをおきに肥料の配合を見直したりするといいと思います。
また良い落花生を収穫している方と明らかに違う点は、言われれば当たり前ですが日々の手入れをしっかりしている点です。夏場など雑草がたくさん生えますので適度に畑をメンテナンスしてあげなければなりません。
夏場は熱いので、外に出るのが億劫ですが、収穫の時にいい落花生ができると考えて適度に手入れするのがよろしいと思います。
たまにいらっしゃるのが、雑草がある方が地面をカバーして、地熱が下げられるみたいなことをおっしゃる方がいるのですが、それはどうか定かではありません。
むしろ、早めに取らないと雑草に栄養や水分を持ってかれてしまいますので、面倒くさいですがこまめにとってしまうのがいいと思います。また雑草取りをしているときに落花生の様子を見ることができるので、
葉っぱが白くなっていたり、黒くなっていたりする白絹病などの病気や害虫を早期発見できるので、そういった点も手入れの重要さが分かります。
あとがき05
いかがだったでしょうか?「種まき用のいい落花生の種の見極め方」にプラスαして「甘さを引き出すための必要条件」など、少しですがお伝えいたしました。
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